浜松市博物館展示の忍冬酒

 浜松市博物館に展示されている忍冬酒の徳利。 裏には神谷本家吟醸の言葉が刻まれています。

説明文:浜松の名産として、昭和初めごろまで広く出回った薬用酒です。「19世紀末~20世紀前半」

 

  一般向けに徳利入り忍冬酒が販売されていた期間を意味します。

それでは忍冬酒の歴史についてお伝えします。

三河から徳川家康公が浜松城に入城する元亀元年1570年、神谷権兵衛も同行。この地で忍冬酒を醸し、家康公に献上したところ大いに喜ばれ、慶長元年1596年 には名刀「來国俊」一口、金五枚、居宅地拝領のお墨付きを頂戴します。

 関ヶ原の天下分け目の戦いが過ぎ平和な江戸時代になると諸国大名を始め地元が生んだ国学者・賀茂真淵も愛飲し、浜松の名産品にまで発展します。

  ミニコラム:江戸時代に日本を訪れた朝鮮通信使の一行も、忍冬酒の味わいを絶賛しています。

徳川御三家の紀州尾張を筆頭に、全国でも忍冬酒の製造が始まります。

 

 

 戦国時代から昭和18年まで神谷家が浜松にて造り続けていましたが、太平洋戦争の影響で製造が中止となりました。戦後、後継者自身は復活の意志はありましたが、その願いはかないませんでした。

 

 半世紀の時が経ち、「忍冬酒は浜松名産」と旧広辞苑に記述されていることを知ったお客様から、「どこで販売していますか?」という問い合わせがあり、私たち遠州地方の酒屋が神谷家の支援を得て平成9年に復活させました。

 

改良すること2回、平成23年(2011年)に香料・着色料・糖分等一切無添加はもちろん、国内産原料100%使用した家康公の時代の味に近い忍冬酒ができました。

左:平成9年 復活酒

県内の旭化成大仁工場に委託製造。

香料・着色料等使用で、イミテーションの段階。

 

中央:平成17

全国でも有数の本格みりんメーカーの愛知県碧南市の角谷文治郎商店に委託製造。

もち米・米こうじ・本格焼酎と昔造りを再現。原料の忍冬(スイカズラ)が外国産であったことで味わいに今一歩でした。

 

右:平成23年

角谷文治郎商店に委託製造。

原料の忍冬(スイカズラ)を国産にすることで、家康公の時代に限りなく近づきました。国内産原料100%使用した家康公の時代の味に近い忍冬酒ができました。